牛乳アレルギーの基礎知識 乳のアレルゲンたんぱく質と加熱の関係
日本で最も多い鶏卵アレルギーに続き、2番目に多い牛乳アレルギーですが、鶏卵アレルギーが加熱による変化が大きいのに対し、牛乳アレルギーは加熱による変化がほぼ無いと言われています。
牛乳アレルギーのアレルゲンについて調べたことをまとめてみました。
牛乳のたんぱく質について
食物アレルギーのアレルゲンとはたんぱく質です。
牛乳のたんぱく質は主に2種類、この二つの特性について表にしています。
たんぱく質の種類 | カゼイン | β-ラクトグロブリン |
---|---|---|
乳たんぱく質の割合 | 80% | 10% |
加熱での変化 | ほぼなし | 約1/5以下に減少 |
アレルギー児の反応 | ほぼ10割が陽性 | 約6割が陽性 |
牛乳アレルギー児のほぼ100%がカゼインに対してアレルギー反応を起こすようです。
それに対してβ-ラクトグロブリンへの反応は、60%で、40%の子供は陰性です。
これはみなさん血液検査によりデータが出ていると思います。
牛乳のたんぱく質のうち80%を占めるカゼインは熱による変化がほとんどありません。
そのため牛乳アレルギーの強さは加熱しても変わらないと言われているようです。
β-ラクトグロブリンに対するアレルギーがないお子様は加熱による変化は全く期待できないと言えます。
注意する点として、仮に5mlの牛乳が含まれた食パンを食べることが出来たとします。
β-ラクトグロブリンは加熱によりアレルゲンが減少するので、牛乳5mlを飲んでも大丈夫とはなりません。
乳製品中のたんぱく質量の違い
例えば普通牛乳100g中のたんぱく質量は、3.3gです。
ヨーグルトは牛乳に近い量の乳たんぱく質が含まれます。
これに対し100g中のバターに含まれる乳たんぱく質量は、0.6gです。
バターは牛乳の約5分の1ですね。
牛乳10ml飲める場合、バターは50g摂取可能ということになります。
もちろんその製品により細かな数値は異なります。
乳製品中のたんぱく質量の違いについてはこちらのページに詳しくまとめてあります。
牛乳アレルギーの原因となる代表的な食品の抗原性の強さ
実際には個人の除去レベルに応じて摂取できるものが違いますが、代表的な食品のみの抗原のレベルに合わせた表です。
さきほどの表で分かるように、カゼインは加熱による変化がありません。
そのため鶏卵アレルギーとは違い、「加熱が強い=アレルギー反応が弱くなる」とはならないようです。
ですのでこの抗原性の強さよりも、含有量が最も大切です。
抗原の強さ | 種類 | 牛乳食品 |
---|---|---|
最も強い | そのもの(生) | 牛乳, 生クリーム |
強い | 生で使用 | アイスクリーム, ミルクセーキ, プリン, コーヒー牛乳, ミルク, チ-ズ, ヨーグルト |
やや強い | 料理 | シチュー, グラタン |
多く使った菓子 | ケーキ, チョコレート |
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つなぎに カゼインを使用 |
ハム, ソーセージ |
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弱い | 焼いたもの | 食パン, 焼き菓子 (ビスケット, クッキー) |